真田丸

最近ネットで「真田丸はなぜ面白いか」というような
記事を見かけることが増えた。
この数年低迷を続けた大河ドラマだが
「真田丸」はここまでまあまあな視聴率を保っている。

私も「龍馬伝」以来8年ぶりに
大河ドラマを毎週欠かさず観ている。
脚本が三谷さん云々という話はひとまず置いて
どうして「真田丸」は面白いかを考えてみた。

伊藤計劃さんの「映画時評集」の中に
こういう一文がある。

「実は映画がもっとも苦手とするのがこいつ
(心理)だったりする。(映画は)こと心理を
描く段になると哀れなまでの無力ぶりをさらけ出す。
このことをわかっている人は意外と少ない」

確かに、目に見えないもの(心理)は映しようがない。
それでは映画やTVなどの映像が得意とするものは
何かといえば行動、アクションということになる。
苦手な心理を伝えるためには、セリフに頼るしかない
のだけれど、下手をすれば、それは単なる説明になったり
ひどくステレオタイプで冗長になったりする。

「真田丸」では、無駄な心理描写が極力排除されている。
これも伊藤さんの表現を借りると
登場人物は、状況を次々に「判断」し行動しなければならない
というシチュエーションが多い。
のんびり迷ったり、悩んだり、嘆いたり、悲しんだりする
ヒマがないくらい展開が早い。
観てるほうも「えっ、どうなるの?」「どうするの?」と
時代劇ながら、結構ハラハラドキドキできる。
ドラマのテンポがいい。だから面白いのだ。

もう一つは、これまで嫌というくらい
映画になり、ドラマになって、既成のイメージが
定着しまくってる歴史上の人物の「斜め上」を
描こうという野望も見え隠れするが
なにしろNHKだし、大河だし、やり過ぎには注意というところ。

ともあれこの数年、最初の3回くらいを観て
「ああ、もう親子のなんとかとかダルいよぉ~」と挫折していた私が
ここまで投げ出さずに観れているというのは
「真田丸」は、久々に相性がよかったということなのだろう。
スポンサーサイト

THE BRIDGE  シーズン3

「ブリッジ」は、スウェーデン・デンマーク合作のドラマ。
ヨーロッパ発のドラマは、ケーブルでも
扱いが地味で、これまでのシーズンも見たかったのだが
放送時間が深夜帯だったり、新シーズンが始まるから
前のシーズンを再放送してくれるということもないので
シーズン1を数話観ただけで、観れずじまいだった。
今回シーズン3が放送になり、やっと録画もできるように
なって観れるようになった。

スウェーデン発に魅力を感じたのは
「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」を観てから。
フィンチャー版の「ドラゴン・タトゥーの女」も観たけど
こればっかりはスウェーデン版のほうが好き。
最近の映画の、いろいろ加工がされているらしい
画像に比べると、色合いがとてもナチュラル。
それが、いい具合に陰影のある映像になっていて
北欧らしい空気感をかもし出している。

シーズン3では、先鋭的な女性活動家が殺され
シーズン2と同様に、マルメ県警の女性刑事
サーガ・ノレーン(ソフィア・ヘリーン)が、デンマーク
県警の刑事と組んで捜査にあたることになる。
有能だけど、コミュニケーション能力がなく
エキセントリックなサーガを始めとして
ほぼ全ての登場人物に、どこか意味深な翳がある。

画像の色合いもいいけど、ひとつひとつの映像が美しい。
スウェーデンとデンマークを結ぶ国境の橋、オーレンス橋
の夜景を始め、事件と捜査の間を埋めていく
何気ないシーンにも神経が行き届いている。
ストーリーは、もちろん気になるけど、たとえ結末が
今いちな終わり方になったとしても、十分満足できそうな
クオリティの高さを感じます。
前のシーズンも、レンタルで全部観たいなぁ。

レディオヘッドあたりと雰囲気が似ている主題曲も好きです!

リップヴァンウィンクルの花嫁

家族に誘われて「リップヴァンウィンクルの花嫁」を観てきた。
岩井俊二監督の「スワロウテイル」は、邦画のマイベストに
入るくらい好きな映画だが、全ての作品を観たわけではない。

「Love Letter」や「四月物語」や「打ち上げ花火」は
観ることは観たが、内容もシーンもほとんど覚えていない。
「リリイシュシュのすべて」は、嫌いではなかったけど
あまりにも世界が閉じていて息苦しかった。
つまり、岩井監督の映画は、合うか合わないかのどっちか。

で「リップヴァンウィンクルの花嫁」
出演は、黒木華、綾野剛、cocco など

私は、観た人が、内容について賛否両論あるとしても
なんかのプロパガンダみたいな映画じゃなくて
色々な受け取り方ができて、見所がたくさんある映画が
面白い映画だと思っているので
これはとてもよくできている映画だと思った。

派遣で先生をしている七海(黒木華)はSNSで知り合った
やはり教員の鉄也と結婚することになるが、親族が少ない
ことを鉄也に指摘され「なんでも屋」の安室(綾野剛)に
代理親族の派遣を依頼する。
しかし新婚早々、夫の浮気発覚かと思いきや、七海自身が
不倫を疑われて、即効離婚する羽目に…。

という怒涛のストーリー展開で、3時間という長さは
ほとんど気にはならなかった。
見所はたくさんあるのだが、一番印象深かったのは
この社会の中での、人間とネットとの関係性。
よくリアルとバーチャルという対比がされるけど
今は、たくさんの人が、実名とは違うHNで
ラインやツイッターをやったり、ブログを書いたりしている。

ネットの世界にも、もう一人の(何十人もいることも
あるんだろうけど)自分がいて、そこで誰かと出会うことで
恋愛とか、結婚とか、仕事とかのリアルに直結する。
運が悪いと、犯罪に巻き込まれて死んだりもする。
もうリアルとバーチャルの境界線はほとんどなく
人は、この世界でこんな入れ子細工のような
訳のわからない、危ういリアルを生きている。

そこがよく分かってなくて、ふわふわ漂っていた七海は
いきなり現実の残酷さ、厳しさにもみくちゃにされる。
電話にすがって「ここはどこですか」と叫ぶ七海が痛々しい。
そんな彼女の水先案内人が、極めて要領よく
リアルとバーチャルのはざまで世渡りしている安室。

そしてお金のために過酷な現実を生きている真白(cocco)
もまた、プライベートではおとぎ話の世界で生き
自らが夢に見たファンタジーの世界で死んでいった。
けれど、自分の夢のために人生の全てを賭ける
真白の過激さは、現代の若者風ではない。
彼女のHNがリップヴァンウィンクルという由来は
その当たりにあるんだろうか。

その3人の、現実なんだか、非現実なんだかという生き様に
正面から「NO」を突きつけるのが真白の母(りりぃ)
娘がAV女優をして大金を稼いでいたことを知って
娘の遺骨の前で自ら全裸になり「裸は恥ずかしい」と叫ぶのだ。
彼女は一生裏も表もないリアルを生きてきた人だから。
そして、その直球勝負の姿を見て、綾野剛クン改心したか?(笑)

世界がこんな風であること、そしてこんな世界で生きる
七海や安室、そして真白に注がれる監督の視線は優しい。
その優しさが、この映画をとても美しくしているように思えた。

ただ、私は、映画がこれだけ素晴らしくても
「ああ、この音楽いいなぁ」とはならず
一番盛り上がるところで、皮膚がざわざわしたので
やっぱりクラシック音楽とはとことん
相性が悪いのだろうということを再認識しました。
プロフィール

田中偲

Author:田中偲
50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
フリーエリア
amazon
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
900位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
406位
アクセスランキングを見る>>
フリーエリア