ノロイ

今「貞子VS伽椰子」が封切られている
白石晃士監督の、2005年の映画。

ケーブルTVのトーク番組で「すごく怖いホラー」として
名前が上がっていて「観たいなぁ」と思っていたけど
近所のDVD屋さんにはなく、天神のツタヤでやっと
レンタルでき、初めて郵送返却というのを利用した。

映画は、行方不明になった、怪奇実話系の映像作家
小林雅文(村木仁)が制作していた「ノロイ」という
ドキュメンタリーという、フェイクドキュメンタリーの形
になっている。平たく言えば、観客に対して
「これはすべて事実ですよ」と主張している映画なのだ。
最近はすっかりメジャーになった、手持ちカメラを使って
撮影するなど、映像面でもリアル感が強調されている。

ある主婦からの、奇妙な隣人の通報を受けて、取材に
行った小林は、その気味の悪い隣家の女と話すが
彼女はすぐに転居。通報した主婦は事故死。
謎の女を追跡しつづけた小林は、ダムの底に沈んだ
下鹿毛村で祀られていた「禍具魂(かぐたば)」という鬼
の存在にたどりつく。

怪異の正体は、草深い山村に、たぶん大昔から棲む
鬼というか悪霊で、その実体は、ムンクの「叫び」みたいな
気味の悪いお面でと、ストーリーだけ追うと、思ったほど
怖くないということになるかもしれない。

けれど、かぐたばの正体を暴こうとする人たちが、例外なく
命を落とすという展開には、違う怖さがある。
人は、パワースポットなどと言って、人間にご利益をもたらす
ような非現実な存在の正体については深追いしない。
カミサマの動画を撮影しようとシャカリキになったりはしない。

それなのに、幽霊とか悪霊とか、邪悪なもの、禍々しいものと
なると、まさに怖いものみたさで、とたんにパパラッチのように
追っかけまわす。心霊バラエティなどといって、本来闇に棲む
者をさらし者にしようとする。ハイテクな技術で、立ち入るべき
じゃない領域に、ずかずか踏み込んでいく。それがよくないん
じゃないかと思ってしまう。だから呪われる。

かぐたばは、ダムができて住処を追われ、都会の片隅でひっそり
暮らそうと思っていたのかもしれない。
謎の女石井潤子に乗り移っていたと思われたかぐたばだが
実は・・・と、最後にドンデンもある。
もちろん貞子サンのように、自ら仕掛けて、ガンガン露出して
大スターになるような幽霊もないわけではないだろうが、多くは
写真がせいぜいで、動画になんか絶対撮られたくないという
シャイなタイプのほうが多いと思われるので、私としては
そっとしておいてあげたいと心から思います。

<教訓 >触らぬ神(幽霊、悪霊、鬼、その他諸々)に祟りなし 

スポンサーサイト

愛の嵐

「自分には映画の神様がついてるんじゃないか」と
思うことがある。引っ越しで大量のビデオを処分したが
昨年録画できるTVを購入して以降
「この映画があれば残りの人生を生きてける」と思える
映画が、サクサクと録画できていて、これもその一本。

愛の嵐 (1973)  イタリア 
        監督 リリアーナ・アヴァーニ 
        出演 ダーク・ボガード
           シャーロット・ランプリング

1957年 冬のウィーン。かつてナチス親衛隊の将校だった
マックスは、収容所で出会った少女ルチアに再会する。
彼女は、マックスが夜勤のフロント係として勤務する
ホテルに逗留した著名な指揮者の妻だった。二人の脳裏
によみがえる過去の記憶。

ロリコンで変態のおっさんが、いたいけな少女を弄んた挙句
結局は彼女の魔性に翻弄されて
二人して自滅した話だと思っている人もいるかもしれないが
私にとっては、これはある意味究極の純愛映画。

ルチアとの再会を、マックスは「天使に会った」と語る。
そして「ロマンチックね」と言う伯爵夫人に
「そうじゃない。あれは聖書の物語なのだ」と。

映画のポスターにもなった、ルチアがナチの将校たちの宴で
制帽をかぶり、上半身裸で、デートリッヒの歌を唄うシーン。
マックスは、歌い終えたルチアに、彼女が嫌っていた収監者の
生首を与える。そう、それは「サロメ」の物語の再現。

ルチアの反応を見守るマックス。まるで高価な宝石を
恋人にプレゼントする若者のような、高揚した表情が
ものすごく印象的。そしてルチアは、全編を通して
叫ぶでもなく、泣きわめくでもなく、あの美しい大きな瞳で
マックスを凝視する。

自分たちの犯罪の生き証人であるルチアを抹殺しようとする
ナチ残党のメンバーたち。極限の状況の中で、二人は破滅に
向かってひた走る。男も女も、決して相手に媚びることはなく
傷つけ合いながらも、唯一無二の存在。こんな愛の形もある
ことを、強烈に認識させてくれた作品。
センセーショナルではあったが、実は具体的な、性的な描写
はほとんどない。だから、この映画が、そういう視点だけで語
られるのは悲しい。

冬のウィーンの街並み、骨董品店、オペラハウス、物語の
舞台となる古いホテル、二人が死の道行きをする橋に至る
まで、すべての風景がどうしようもなく暗く、そして美しい。
何よりシャーロット・ランプリングの、これまた陰のある美
貌が他に類を見ないくらい美しい。
そして「地獄に堕ちた勇者ども」(1969)「ベニスに死す」
(1971)そしてこの「愛の嵐」と、ダーク・ボガード
という俳優さんが、もっとも輝いていた季節でもあった。
オッサンくさいジャケットは、ちょっとアレな感じでしたが
軍服姿はすごく素敵です。

最近ヨーロッパの映画やドラマのほうへ、大きく関心が
振れているのは、多分「ルートヴィヒ」や、この「愛の嵐」を
数十年ぶりにじっくり観て、自分の感覚が急激にタイムスリップ
したことも大きいような気がしています。



デッドプール

珍しくリアルタイムで感想を。
「デッドプール」を観てきた。
数あるヒーロー映画にも、アメコミにも
ほとんど思い入れがないことに一抹の不安があったが
そもそもスーパーヒーローの映画ではなかった。

予告編でビビッときたのは「チャッピー」の時と同じ。
「これツボだわ」という予感はビンゴだった。

傭兵あがりのウェイド(ライアン・レイノルズ)は
けちな用心棒稼業で食ってる男。ある時美人で
セクシーなヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)と
出会い、二人は身も心もラブラブに。しかしウェイドが
末期ガンの宣告を受け、どうしても病気を治したい
ウェイドは、悪辣な医療マフィアみたいなのにに騙されて
不滅だけどエルム街のフレディみたいな醜悪な容姿にされてしまう。

で、赤いボディコンスーツに身を包んだウェイドは
デッドプールに変身して悪者たちを片っ端からやっつけるという
ベースになるお話は、恋愛と復讐で、とてもシンプル。

なんだけど、下ネタ満載、エロあり、グロあり、派手なアクション
ありで、見せ場はてんこ盛り。でも、ただのB級アクションじゃない
のは、結構ひねりがきいた笑いが多いところ。
例えば、デップーが観客に直接話しかけるという意外性やら
デップーやX-MANが移動するのに、なぜタクシー?とか
製作費が足りないからX-MANは二人だけ、とか。
コロッセスが、実はお笑いキャラになってることとか。

一応ヒーロー映画の体裁をとっているのに、すごくアナログで
レトロで、いい意味でチープなとこが素敵!
「ワム!のファンって。実はすごくオッサン?」
などとと思ってしまう。ネガソニックにも「リプリー」って言って
「古っ!」って突っ込まれてたし。
でも映画や音楽が好きな人間には、こういう小ネタが
いっぱいあって楽しい。せっかく面白いジョークも多いのに
下ネタ連発で、あえて好感度を下げまくってるとしか思えない。

だから、すべてにおいて、整合性なんかどこ吹く風で
定番をひっくりかえしにかかってて
高尚さとか全然求めてないのに
箸にも棒にもかかならいほど馬鹿々々しくはないという
こういうタイプの映画が好きな人には
温かく受け入れてもらえそう。

万人向けかといえば、少々疑問符がつくような気がして
独りで観に行くことにしたのは、たぶん正解。
ただし面白いと思えない人には、絶対無理なタイプの映画
だろうな。

でもヴァネッサ役のモリーナ・バッカリンは「メンタリスト」で
すごく存在感のあるキャラを演じた女優さんだし
エンディングのCareless Whisperは大好きな曲なので
ポイントが大きく加算されました。

もしも続編があるとしても、キャラを変えないでくださいね!
プロフィール

田中偲

Author:田中偲
50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
フリーエリア
amazon
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
1101位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
461位
アクセスランキングを見る>>
フリーエリア