洋画オールタイムマイベスト

年末で、何かとあわただしい今日この頃
さすがに、一回分のブログを書く時間がなさそうなので
ここいらで「洋画オールタイムマイベスト」をチョイスしてみた。

1 地獄の黙示録(1979)
2 ブレードランナー(1982)
3 エクソシスト(1973)
4 王女メディア(1970)
5 愛の嵐(1973)
6 第九地区(2009)
7 ファイト・クラブ(1999)
8 ルードヴィヒ 神々の黄昏(1972)
9 イミテーション・ゲーム(2014)
10 エンゼルハート(1987)

マイベストに入れてもいい映画は他に
「真夜中のカーボーイ」(1969)
「サイコ」(1960)「シザー・ハンズ」(1970)
「ブルー・ベルベット」(1986)「戦慄の絆」
(1988)など。ベタですが。

「地獄の黙示録」だけは、ぶっちぎりの1位。
私にとっては「これぞ映画、THE映画」という
感じです。
1位から5位までは、おそらくこれからも不動。
6位以下は、圏外も含めてほぼ同率。

「これっ!」と思う許容範囲がかなり狭いので
ど真ん中という映画にはなかなか出会えない。
ちょっとキャパを広がれば「猿の惑星新世紀」とか
「チャッピー」とか「悪の法則」とかいい線いってる映画は
最近の映画でも結構あるのだけれど。

ゲームクリエーターの小島秀夫監督が、インタビューの
中で「映画のベスト10とか訊かれると、どうしても十代
の頃の映画になる。最近良いのを観ていても、そんなに
心がピュアじゃないから、人生の中での順位はだいぶ
後ろに回してしまう」と語られているのを読んで、心から
「なるほど、そういうことか」と合点がいきました。

十代から二十代にかけて出会った映画に強烈な
インパクトを受けて、その後は「あんな感じの映画」を
ずっと探し続けていくのでしょう。
来年も面白い映画に出会えますように!
一年間ありがとうございました!よいお年を(*^_^*)
スポンサーサイト

岸辺の旅

今年観た邦画の中で
一番強く印象に残ったのが「岸辺の旅」
湯本香樹実の同名小説の映画化で、原作は未見。

監督 黒沢清
出演 深津絵里 浅野忠信 他

三年間失踪していた夫の優介(浅野忠信)が、突然瑞希(深津絵里)
の暮らす家に戻ってくる。そして瑞希に、自分は三年前に死んだと告げ
死後に旅した美しい場所を瑞希にも見せたいと、旅に誘う。

優介が働いていたという新聞販売店
夫婦が営む、餃子がおいしい中華料理屋
そして黄泉平坂(霊界)への入り口があるという山奥の村

瑞希は、明らかに死者である優介と、当たり前のようにバスや
汽車に乗って旅をし、行く先々で出会った人たちと話し
時には旅先で働いたりもするのだが、彼らの中にもまた
死者が混じっている。

何事も理詰めでなければ納得できない人が観たら
多分すべてが理屈にあってなくて、おかしいと思うような映画。
最初のエピソードの、新聞販売店の店主も
中華料理屋の奥さんの妹も、実はずっと前に死んでいる。

一見それぞれが、現世に思いを残して死んだから
幽霊的なものになって、姿を現したようにも見えるが
これは、そういうありきたりな話ではない。
話が進むうちに、次第に瑞希と優介が旅する場所自体
が今はもう存在しないんじゃないかと思えてくる。
けれども、登場するすべての人間が死者というわけでもない。

何かの自然災害で、あとかたもなく消えてしまった町
どんどん人がいなくなって、廃村になった村
そんな場所に、生者と死者が分け隔てなく暮らす風景を
この映画は再現して見せたのではないか。

「回路」の時は、まだ死者と生者の世界には境界があって
回路がつながったことで、忌むべき存在としての死者たちが
こちらの世界を侵食していった。
けれど「岸辺の旅」では、そうした全ての境界がなくなった。
その最も象徴的な場面が、瑞希が優介とセックスするシーン。
これが現実なのか、幻想なのか問うことに意味はない。
受け入れられる人は受け入れられる、そういうものなのだから。

「何もないということは決して無意味ではない。無こそすべての基本
なんだよ」「宇宙はこれで終わるんじゃない。ここから始まるんです」
これは、彼を「優介先生」と慕う村人たちを前に、優介が語った言葉。

小説家にしろ、映画やドラマを作る人たちにしろ、3.11の震災と
津波と原発事故による、ものすごい数の人々の死は、想像を超える
衝撃だったのだと思う。私たちは、今生きていることと同様に、必ず
訪れる死というものに、真剣に向き合わなければならない。改めて
そういうふうに感じた人は、おそらくたくさんいるのではないか。
そこで、既成の宗教とか慣習の縛りをはずれて、死と真っ向から
向き合う。これまでにあった生と死の境界を取り払ったところに
見えてくる風景を描く。これはそういう、かなりすごい映画なんじゃ
ないかと私は感じたのです。


戦慄の絆

少し前に録画した「ウルフ・オブ・ウォールストリート」を
大変な苦労をして観たせいでどっと疲れて
しばらく放置していた「戦慄の絆」(1988)

監督 デヴィッド・クローネンバーグ
出演 ジェレミー・アイアンズ(一人二役) 
    ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド

クローネンバーグ監督の「ザ・フライ」は割と好きだったけど
その後に観た「裸のランチ」が全く歯が立たなかったので
長らく敬遠していた監督さんの一人。

一卵性双生児のエリオットとビバリーは、女性の不妊症治療
を専門とする医師。社交的で野心家の兄のエリオット。内気で
研究者肌のビバリー。一見対照的に見える二人だが
特殊な子宮の持ち主で、妊娠を望む女優のクレアが、彼らの
患者になり、二人と関係を持ったことで、大きな悲劇が訪れる。

何やら怪しげな解剖図のようなものが出てくるオープニング・
クレジットの段階から、すでに重苦しく不穏な空気が漂う。
その不穏さは、話が進むにつれてどんどん深まっていく。

だまされて兄弟と関係を持ったことを知ったクレアは激怒し
ビバリーは自分が彼女を愛していることに気づく。
弟と一心同体だと思っていた兄。自立を望みながらも、兄と
クレアの間で揺れ動く弟。
それぞれの人生を生きるべきと頭では理解しながらも、執着
を深め、薬物に惑溺していく二人。

そして極め付けが、奇妙な形の手術道具と、真っ赤な手術着に
深紅の手術台。ここまできたら、もはやこれは現実なのか異空間
なのかさえ区別がつかなくなってくる。
最後のとどめが、二人して薬物に溺れ、パンツにジャケットという
同じスタイルで部屋を横切るシーン。そこまではかろうじて
兄弟の区別がついた二人が、完全に一体化した衝撃。

どうしようもなくおぞましいけれども、何ともいえず美しい。
映像が非日常な美しさにあふれていて、音楽もいい。
ずっと弟を守りつつも支配しているように見えたエリオットが
幼い子どものようにだだをこね、二人でケーキを食べる。
「誕生日おめでとう。兄さん」ビバリーが優しく微笑む。

いやあ、切なかったです。そして、ラストシーンは
まるで宗教画のようでした。
二人を演じ分けたアイアンズ様も素晴らしかったです。
じゅっぱひとからげにホラーと呼ばれる映画の中でも
一番好きなあたりですが、めったに出会えません。
「鬱な映画」だと間違いなく上位に入る代物ですが
私には、思いもよらない掘り出し物でした。

プロフィール

田中偲

Author:田中偲
50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
フリーエリア
amazon
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
989位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
454位
アクセスランキングを見る>>
フリーエリア