世にも怪奇な物語

まぎらわしいタイトルだけど、タモリさんがナビゲーターの
アレではない。

世にも怪奇な物語(1967) 仏・伊
 原作 エドガー・アラン・ポー

初めて観たのは「日曜映画劇場」で
たぶん中学生の時だったと思う。
細部はほとんど忘れていた。
唯一覚えていたのはラストシーン。

疾走する車、崩落した橋。
細いワイヤーが男の首を切断する。
白いワンピースの少女が、その首を抱えている。

先日GYAOで、数十年ぶりにじっくりと観ることができた。

この映画は、3話のオムニバス構成で
私の記憶に強烈に残ったのは3話目の「悪魔の首飾り」
監督がフェデリコ・フェリーニ 主演テレンス・スタンプ

イギリスの著名な俳優トビー・ダミット(テレンス・スタンプ)
は、フェラーリをくれるというので、イタリアでの演劇の
授賞式に出席する。
冒頭の、イタリアの空港も、受賞パーティーの場面も
風景や人物は、どこか奇妙に作り物めいている。
それは、現実なのか、それともアルコールとドラッグに
溺れたダミッドの意識で歪められた幻覚なのか。
はたまた腐敗した現実へのアイロニーか。
そんなダミッドを、少女の姿をした悪魔が誘う。

恐怖というよりも、全編に退廃的な美しさが漂う。
あ~、これぞまさしくヨーロッパの文化の香り(笑)
でもやっぱり、白い服着た、金髪の女の子は怖かった。
薄笑いを浮かべた目元や真っ赤な唇の禍々しさは
絶対夢に出てきそうです。
このラストシーンが、半世紀近く経っても
私の記憶の底に張り付いていたわけが分かったような気がします。



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ホラー大全

珍しく図書館へ行って、目についたので借りてきた。
「ホラー大全」
クライヴ・バーカーと、スティーヴン・ジョーンズの共著

クライヴ・バーカーは「血の本」シリーズなどの小説家であり
「ヘル・レイザー」シリーズなどの映画の監督さんでもある。

この本は、ホラーの歴史や分析をする解説書ではない。
「A:アメリカン・サイコのA」「C:カオスのC」
「N:ナイトメア(悪夢)のN」というように、ホラーを構成している
魅力的な要素をAからZに分類して、作者の私見を述べた
とてもユニークなホラー論だった。

映画だけではなく、対象はポーやラヴクラフトの文学、演劇
絵画と幅広いが、やはり半分以上が映画のお話。
ホラー映画の、ターニングポイントになった作品というのは
「サイコ」「エクソシスト」そしてトビー・フーバー監督の
「悪魔のいけにえ」という話は、心から納得。

欧米では、宗教的な背景もあって、悪魔とか、悪霊とか
吸血鬼のように、邪悪で強大な力を持つ存在に襲われ
それと闘うという話が、ホラーの大きな流れとしてあった。

しかし「1957年の冬、ブレインフィールドという、アメリカの
どこにでもあるような小さな農村で起きた、エド・ゲイン事件は
アメリカ人の恐怖に対する概念を根底から変えた」のだ。

このエド・ゲイン事件をもとに、ロバート・ブロックが「サイコ」を
書き、それを原作とする映画「サイコ」が作られた。
ここから、たくさんのホラー映画が派生して、作られていく。

前書きには「ほとんどのホラーは、人間という存在における混沌
(カオス)の噴出を扱っている」とある。
この世界がどれほど、平和で、安定して、満ち足りているもので
人間は、善意にあふれた美しい存在のはずだだと力説されても
私自身は、そんな幸せな現実や人生の中で生きてはいないから
むしろ、醜悪で、ぐちゃぐちゃぞわぞわで、おぞましくて
怖いものを見ているほうが、なぜか安らいだ気持ちになれるのです。
つまり私の頭の中は、未だにカオスそのものということなのでしょう。

後妻業の女

直感で映画を選ぶと、息を詰めて観るような映画ばっかりに
なるので、さすがに体にもメンタルにも良くない。
ということで「明るい映画を」と、オンデマンドで
「後妻業の女」をチョイスした。

原作は黒川博行氏の「後妻業」 で原作は未見。

監督、脚本 鶴橋康夫
出演 大竹しのぶ 豊川悦司 尾野真千子 etc.

実話をベースにした小説や映画は多い。
前回の「葛城事件」もそうだし、「怒り」や「凶悪」
感動系の映画にもたくさんある。

そんな中「後妻業の女」は、「日本で一番悪いやつら」と同様の
コメディ仕立て。結婚相談所のパーティで知り合った資産家の
老人と結婚し、財産を乗っ取る女小夜子(大竹しのぶ)
彼女を裏であやつる黒幕で、結婚相談所の所長柏木
(豊川悦司)。父親の遺産を取られて、小夜子の犯罪を暴こう
とする姉妹(長谷川京子、尾野真知子)
それに探偵やら、小夜子の息子のチンピラやらが入り乱れて。

舞台が大阪ということもあって、会話も、しゃべり方も、登場人物
の性格も、すべてが直球勝負で、妙に生々しい。だから、何だか
いい人なんか一人もいないように思えてしまう。

この映画は、悪事を働く人間だけにスポットを当てるのではなく
一見被害者に見える人間たちの側の行動や感情も
平等にリアルに描くことで
すべての人間に共通する「業」を描いてるのかなと思う。

いい年をして、色仕掛けにだまされる老人も
たいして親の世話をしていないのに、財産をとられたとたんに
血相変えて取り戻そうとする子供たちも
そんな人間の弱さと、法の盲点につけこんで
金をむしりとろうとする詐欺師たちも
愚かさと醜さ、つまり業の深さでは似たりよったり。
だから滑稽でもあり、ちょっと哀れでもある。

しかし、観る者のそんなチンケな感傷を吹き飛ばすのが
殺されても死なない、無敵の女
後妻業界のレジェンド小夜子。
いやあ、大竹しのぶさん、すごかった!

そして、クールでかっこいい美青年トヨエツは
もうどこにもおらず、いやらしい、中年のおっさんの
トヨエツがいました(泣)でも、もうかっこつけなくていいから
トヨエツ楽しそうだったなぁ!


プロフィール

田中偲

Author:田中偲
50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

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