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チャーリングクロス街84番地

いつも感想を書いている映画とは対極にある
これといった大きな事件がまったく起こらない映画。
のみならず、主役の二人が一度も顔を合わせない
という、別の意味で、かなりすごい映画でもある。

「チャーリングクロス街84番地」(1986)

原作 ヘレン・ハンフ
監督 デヴィッド・ジョーンズ
出演 アン・バンクロフト アンソニー・ホプキンス

NY在住の、貧しい小説家ヘレン(アン・バンクロフト)
は、英文学の稀少本の収集が趣味だが、アメリカでは
その手の本は高額。そこで、新聞広告で見かけた
ロンドンの古書店マークス社に、注文の手紙をだす。
すると店主のフランク(アンソニー・ホプキンス)から
ていねいな手紙と一緒に本が送られてきた。

それからの20年にわたる往復書簡が原作で、副題は
「書物を愛する人のための本」らしい。
人間関係も含めて、現在では絶滅しているか、絶滅
寸前のアイテムが、そこここに散りばめられている。

文通、価値のある古書、古書に対する愛着
人と人の信頼関係(商取引だけでないプレゼントの
やり取りや、代金の後払い)良質のユーモア。
私のように、未だスマホを持たない、時代とずれてる
人間には、なくなってほしくないものばかりだ。

大戦後、ロンドンの食糧難を知ったヘレンは、度々
マークス社に食料を送り、フランクだけでなく
店の従業員みんなと、家族のような付き合いを
続けた。ヘレンが、エリザベス女王の戴冠式の時に
渡英するというので心待ちにしたが、実現しなかった。
ヘレンが来ないことを知った時のフランクの落胆。

それじゃあ、これは恋愛映画なのかというと
それはちょっと違うような気がする。

ヘレンが言う。
「私のことを本当に理解してくれるのはあなただけ」
つまり、彼女の、書物に対するこだわりや愛着、愛情を
理解してくれたのは、フランクだけだった。フランクもまた
ヘレンのユーモアのセンスや文才を愛し、ヘレンとの
交流を楽しみにしている。けれど彼には愛する妻も
二人の可愛い娘もいて、ヘレンに対する気持ちは
いわゆる男女の愛情というのではなく、かといって
友情というのとも微妙に違うように感じるが
そのあたりの真実は、ものすごくデリケートに
フランクを演じたアンソニー・ホプキンスに聞かない
限り分からないと思う。

「羊たちの沈黙」のレクター博士で、すっかり怪優のイメージ
になったアンソニー・ホプキンスですが、私のマイベストは
この「チャーリングクロス街84番地」と、これまた地味地味な
「日の名残り」なのは、自分でも不思議です。

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50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

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