真夜中のカーボーイ

「イージー・ライダー」「俺たちに明日はない」「真夜中の
カーボーイ」

その中でも一番好きだったのが「真夜中のカーボーイ」

1969年(昭44)アメリカ映画 監督 ジョン・シュレンジャー

カーボーイの出で立ちで、テキサスからニューヨークに
やってきたジョー(ジョン・ヴォイド)は、足の悪いペテン
師のラッツオ(ダスティン・ホフマン)に出会う。二人は
一攫千金で金持ちになってフロリダで暮すことを夢見る
が、現実はあまりにも厳しく、ジョーは男娼をしてわずか
の金を手に入れる。衰弱していくラッツオのために、その
金で二人はフロリダ行きのバスに乗るが、あと少しで
目的地に着くという所で、ラッツオは息絶える。

まぶしい太陽と新しい生活を夢見て、バスに乗った
ラッツオはバスの中でおしっこを漏らしてしまい、
ジョーはカーボーイの服をゴミ箱に捨て、二人は
新しい服に着替える。これからの生活を象徴するよ
うな色鮮やかなアロハシャツ。それを着て、最後まで
マイアミの浜辺を夢見ながら、死んでいくラッツオの
姿はあまりにも悲しい。

これも高村薫さんの「冷血」の中に、四人家族を殺し
た犯人のもう一人、戸田吉生という男が、20代の頃
に観た「パリ、テキサス」という映画について「侘しい
アメリカ、貧しいアメリカ、うつくしくないアメリカに魅入
られたのだと思います」という部分があったが
私が「侘しい、うつくしくないアメリカ」を見出したのが
まさにこの「真夜中のカーボーイ」だった。

日本の戦後も十分貧しかったのだが、それとは違う
アメリカンドリームの国ならではの、激しい格差による
侘しさ、悲しさが随所に滲む。どれほど望んでも、生き
たいと思う人生は手に入らない。それでも、フロリダの
太陽を夢見て、あと少しのところで力尽きるラッツオの
姿はどうしようもなく悲しくて、救いがないほど暗いが
それでも心が震えるくらい美しい。

こうした、1970年代のアメリカ映画の変化の背景には、
ベトナム戦争があった。映画は、それまでの明るくて
希望に満ちた世界とは違うものを描き始めた。
そしてこの作品は第42回のアカデミー賞作品賞
を受賞している。

親の影響から離れて、自由に自分の観たい映画を
物色できるようになった思春期の私にとって、この
70年代のアメリカ映画は、どんぴしゃだったわけだ。

「真夜中のカーボーイ」で、マッチョなイケメンの若者を
演じたジョン・ヴォイトは、つい最近もアメリカドラマ
「レイ・ドノヴァン」で健在ぶりを示し、なんとあの
アンジェリーナ・ジョリーのお父さんだと知って、本当に
驚いた。
ダスティン・ホフマン
992円
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田中偲

Author:田中偲
50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

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