王女メディア

映画への興味は小さい頃からあったので
中学生になると、新聞の映画批評や、ヨドチョーさん
の話の影響なんかで「スクリーン」も読むようになった。

そして強く興味を持ったのがパゾリーニだった。
特に「アポロンの地獄」(1967)と
「豚小屋」(1969)は観たかったが
いかんせん、この時まだ中学生である。
さすがに映画館に一人でパゾリーニの映画を
観にはいけなかった。

そんな私が、晴れてパゾリーニ作品を観たのが
「王女メディア」(1970)伊・仏・西独合作

主演が20世紀最高のソプラノ歌手である
マリア・カラスだったこともあって
当時結構話題になったと思う。

原作はエウリピデスのギリシャ悲劇「メディア」
コルキス国の王女で巫女でもあるメディアは
金毛の羊皮を求めてきたイアソンと恋に落ち
自分の弟を殺して羊皮を盗み出し、イアソン
とともに、コリントスへ逃亡する。十年後
イアソンは、コリントスの王から娘婿にと
望まれて、メディアを裏切る。メディアは
イアソンとの間にできた二人の子供を刺し
殺し、家に火を放って、燃え盛る炎の中から
イアソンに呪詛の言葉を叫ぶ。

ストーリーを書き出すと、すごく過激だが
映画はそれほど激しいやり取りがあるわけでは
ない。セリフではなく映像で語られている感じ
だ。荒涼とした風景、繰り広げられる土俗的な
儀式、重厚で奇異な衣装や音楽。どこかお能
を観ているような感じもあった。

この時40代の半ばだったマリア・カラスの存在
感はすごかった。全てを賭けて愛した男に
裏切られた女の怒り、憎しみ、恨み。
私は、キリスト教の世界観は、あまりしっくり
こないのだが、こういう原始的なアニミズムは
非現実なものでもすんなり受け入れることが
できる。理屈ではなくて感覚的なものだ。

後年「アポロンの地獄」や「ソドムの市」も観たが
この「王女メディア」ほどのインパクトはなかった。
ただ「アポロンの地獄」は「王女メディア」と同じ
ギリシャ悲劇が原作なので世界観は似ており
パゾリーニ作品の中では、この二作品が私の
ツボにぴったりはまった。

そして「王女メディア」のDVDが発売されていることに
ちょっとびっくり。この作品レンタルで探しても見つか
らなかったもので。
マリア・カラス
5201円
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フランコ・チッティ
3990円
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50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

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