大地の子守唄

大地の子守唄(1976) 監督 増村保造

この映画を観たのは箱崎の映画館だった。
箱崎は九大に近く、ATGの映画なんかを
3本立てで上映する映画館があって
学生に人気だった。
もちろん私は、九大生なんかじゃなかったけど
安くていっぱい観れるのが魅力だった。
3本立てといったら、6時間近くかかる。
まさに映画漬けだ。
いやホントに若かったなと思う。

四国の山奥で野生児として暮らしていたりん
(原田美枝子)は、祖母の死後、瀬戸内海の
小島へ娼婦として売られてしまう。りんは
いつの日か島を抜け出そうと、船を漕ぐのを
覚え、周囲に反抗し続けるが、やがて客を
取らされるようになってしまう。狂ったように
働き続けるりんは、やがて目の病に侵されて
視力を失なった。

何が凄いといって、撮影当時16才だった原田美枝子
さんが凄かった。過酷な運命に耐えてけなげに
生きる少女を描いた話はたくさんあるが、これは
そんな生易しいものではない。運命に立ち向かう
どころか、運命を相手の自爆テロである。

だから、悲惨だけど陰惨ではないし、じめじめしてない。
物事の善悪とか、そんな御託はふっとんでいる。
けれど、少女が売春させられるような社会は
その社会自体がそもそも不条理なわけで
りんの行為が非難されるような筋合いでもない。

どうしようもない不条理の中で
それでも自由を求めて、とことん生き抜く
りんの強さが胸を揺さぶる。

りんの境遇に同情した牧師が、りんを逃がして
くれる。幼い遍路となって、鈴の音を響かせながら
山道を行くりんの姿が美しい。

不幸ネタの、じめじめした話が
根っから好きではない私が
唯一強烈な感銘を受けた作品だった。
日本映画では十本の指に入るくらい
好きな作品なのにDVDが発売されなかったのが
残念でなりません。

4104円
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Author:田中偲
50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

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