ヒッチャー

ヒッチャー(1986) 監督 ロバート・ハーモン
 
  C・トーマス・ハウエル ルトガー・ハウアー

大好きな俳優さんが出演した映画は、どうしても
高評価になってしまうのが人の常。「ヒッチャー」
も、もちろんルトガー・ハウアーというので、飛び
ついたが、そういうひいき目を抜きにしても、ホ
ラー映画の超傑作…だと思う。

1980年に「13日の金曜日」が大ヒットして、ホラー
映画は新しい時代を迎えたといってもいい。
もちろん「13金」も観たけれど、実は私は、残酷な
殺人のシーンとか、無残な死体がバンバン出てくる
から怖いとは思わない。生理的に気持ちが悪いと
いうのと、恐怖とは似ているがちょっと違う。

雨の夜の、砂漠のフリーウエイ。
ジム(C・トーマス・ハウエル)は、一人のヒッチハイ
カー(ルトガー・ハウアー)を自分の車に乗せる。
ところがその男、ジョン・ライダーは実は殺人鬼で
ジムをどこまでも、どこまでも追いかけてくる。

とこう書くと「13金」とあまり変わらなそうだが、ライ
ダーは直接ジムを襲うというよりも、彼の周囲にいる人
たちを容赦なく殺すことで、彼を恐怖に陥れ、孤立させ
てどんどん追い詰めていく。
ライダーとは何者なのか、目的は何なのか。
そして、なぜ狙われたのがジムなのか。

ジムは唯一の協力者であるウエイトレスのナッシュと
逃げようとするが、ナッシュはライダーに捕まり、トレ
ーラーに縛られてしまう。トレーラーに乗り込んだジムに
ライダーは銃を握らせてささやく。
「俺を止めろ」

ライダーは、血も涙もない無機質な殺人マシーン
ではない…と思わせるのは、やっぱりルトガー・
ハウアーだからか。人を殺すことでしか、他者と
関わることができないライダーが見つけた、たった
一つの人との「つながり」。それは、どんな手段を
使っても、ジムに自分を殺させること。そこには
微かにだけど、悲哀さえ感じさせるものがある。
が、それも観る人次第というところだろう。

ルトガー・ハウアーに何の思い入れもない人が
観たら、たぶんただの完全に気の狂った殺人鬼
にしか見えないかもしれない。そして、結局何ひとつ
謎は解けないまま、やっとライダーがジムに撃たれて
映画は終わる。もしトレーラーのシーンで、ジム
がライダーを殺して、めでたくナッシュを助け出して
いたら、ここまで感動しなかったかも。

すでに指摘されているように、いっぱい人が殺される
のに、死体のシーンはほとんどない。それでも十分
怖い。怖いけど、終盤なぜかライダーに感情移入してしまう。
やっぱりルトガー・ハウアーの、あの眼の魔力か?

一切のむだな説明を排除して
すべての定番の展開を捨てて
観る人の五感を直撃する恐怖。それが「ヒッチャー」
「心臓急停止」のキャッチコピーに偽りなし。





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田中偲

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50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

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