尾崎放哉

中学から高校にかけて、一時期はしかのように
中原中也にはまった時期があった。
それは、高校時代に、一人だけ私のことを
とても可愛がってくださった現国の先生が
個人的に中原中也の研究をされていたので
その影響だった。
もう一つの理由は、当時放送されていた
「柔道一直線」というドラマに出ていた
近藤正臣さんのファンで、見てたら
中也の詩がドラマの中でも出てきたから
という黒歴史のおまけつき。

当時デビューしたばかりで
美青年だった近藤さん、先日公開された
「龍三と七人の子分たち」に出てましたね。
あと「龍馬伝」の山内容堂とか。熱演でしたけど。
あ~、自分が年取るはずだわ。

その後、詩とか短歌、俳句といった短文系には
特に興味も思い入れもなかったが
ある時尾崎放哉の俳句に出会って
ハードカバーの「尾崎放哉全句集」を買った。

その衝撃を受けた句というのが

  蛇が殺されている炎天をまたいで通る

そして句集の中でもうひとつ好きなのが

  肉がやせてくる太い骨である

季語や、五・七・五という型には捉われない
自由律俳句というらしい。

尾崎放哉という人は、大正生まれで
一高、東大法学部というエリートコースを歩みながら
お酒にのめり込み、結婚にも失敗。仕事も失って
最後は、小豆島の南郷庵という小さな庵の寺男となって
肺結核のため、41歳で世を去った。

社会人としても、家庭人としてもダメダメで
性格的にもいろいろ問題があったらしく
友だちもあまりいないような孤独な人生だが
言葉にものすごく不穏な力がある。

現実を見つめる視点も独特だ。
その自分の見たものを
技巧的でも、感傷的でもなく
たったこれだけの長さの言葉で
表現しきっているところがすごい。
正直俳句というものをナメてましたと
心の中で謝った。
というわけで、これが自分の人生で買った
最初で最後の句集。

尾崎放哉の生涯を描いた 『海も暮れきる』 (吉村昭著)
も読んだ。人は孤独に生きることはいいことではないかも
しれないが、孤独と向き合えるだけのパワーがあれば
必ずしも不幸だとは言えないような気がした。


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50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

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