パレード

吉田修一さんは、わりと好きな作家さんだ。
つい最近も「怒り」(上・下)を読んだ。
「悪人」や「怒り」短編では「女たちは二度遊ぶ」
なんかは面白かった。
でも「東京湾景」とか「さよなら渓谷」は、今ひとつ
共感できなかった。作品次第という感じだ。
映画やTVなどで、映像化されることも多い。

パレード(2010)
監督 行定勲
出演 藤原竜也 小出恵介 林遺都etc

映画を観たのはかなり前だ。そして映画を観たので
何となく分かった気になって、原作を読んでおらず
最近読んだ。

東京の2LDKのマンションで、ルームシェアをしている
年齢も、仕事や境遇もまるでばらばらな四人の男女。
ルームシェアといっても、要はその部屋の主である
映画配給会社で働く直樹のところに、何だかよく
分からない流れで、他の3人が転がり込んでいる
という奇妙な設定。そこにさらに、得体のしれない
少年サトルが加わる。

隣室には女子高生に売春をあっせんしているのでは
と疑われる怪しい人物が住み、近所では女性を
狙った連続暴行事件が起きている。

映画ではそのミステリーの要素が、わりに大きく
扱われていた。犯人は誰かというところに興味
を持たせるような作り方になっていたのだ。
同居している5人の男女には、恋愛とか友情とかの
濃密な人間関係がないから、これは仕方がないか。

今回原作を読んでみて「これの映像化って、結構
難しいよな」と改めて思った。
実際に起きる出来事は皮相的なもので、それぞれの
気持ちがすべての本質なんだけど、比較的分かり
やすいのは大学生の良助と、アイドル俳優の隠れ
恋人をやってる琴美くらいで、あとの3人は、もの
すごく屈折してる。

原作は、即物的な日常会話や動作や表情では
とても表現しきれない複雑な心理描写が多い。
だからラストシーンの意味がよく分らないと言われる
のも仕方がないかなと思う。
何しろ登場人物(未来)自身が「分からない」という
くらいだから、読者や観客に分かるはずもない。
ただ常識とか、道徳とかの社会通念だけで
映画や小説を評価したらつまらなくなる。

彼らの気持ちに共感できないという批判もあるが
そもそも思いと行動が、思い切りばらばらな
5人の行為や会話に感動できる要素はない。
でも今の時代に、感動させない話を作るって
意外にすごいことだ。
だからこの小説を映像化しようと思った勇気に拍手(笑)



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田中偲

Author:田中偲
50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

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