回路

一般的なホラーとは一味違うけど
私の好みでは、一番好きなホラー映画。

回路(2001) 監督・脚本 黒沢清
          出演 麻生久美子・加藤晴彦・小雪

ミチ(麻生久美子)は観葉植物を売る会社の社員。
ある日、同僚の田口が原因不明のまま自殺をし、
ミチの周辺では、次々に不可解なことが起こり始める。
大学生の亮介(加藤晴彦)は、パソコンでインターネット
を始めようとするが、いきなり「幽霊に会いたいですか」
という気味の悪いサイトにつながってしまう。パソコン初
心者の亮介は、工学部でパソコンに詳しい春江(小雪)
と出会い、彼女に好意を寄せるが…。

世界はどんどん変容していく。会社が、街が、大学が
電車が無人になり、やがて飛行機がミチや亮介の
目の前で墜落していく。

種明かしはわりと簡単だ。
春江の先輩の大学院生が言う。
「馬鹿みたいなことで、その装置は完成した。
向こう側の世界が飽和状態になって、死者の
意識はこちらのエリアに進出した」

こういう考え方自体は、ブードゥー教にもあって
いわゆる「ゾンビ」は地獄から溢れ出した死者たち
だという話は映画の「ゾンビ」にもあった。

けれど「回路」の死者たちは、別に積極的に生者に
襲いかかってくるわけではない。
「回路」では、ある日何となくつながってしまった回路
を媒介して、向こう側の世界がどんどん現実の世界
を侵食してくる。全ての境界があいまいになって、最
終的には死が全てをおおいつくすのか、否かで終わる。

スマホも携帯も、テレビもパソコンも、私たちが現実
だと思っている世界は、すべてとんでもなくあやふや
で危うい。

天災や原発事故だけでなく、いつ空から飛行機が
降ってくるかもしれず、隣人や、電車で隣に座った人
が殺人鬼かもしれず、走っている車を運転してるのが
「シェシェシェー」男かも、あるいは逆走車に出会うかも
と想像すれば、この世界は不安と恐怖に満ちている。
そりゃあ死者だって、普通にその辺にいくらでも徘徊
しているだろうし、原因は分からないけどいずれ人類が
絶滅することだってあるだろう。回路はとっくの昔につな
がっている。赤いテープで、フレームを作りさえすれば
それはどこにでも出現する。

世界が、社会がそういうものだと感じている人間には
「回路」はすんなりと受け入れることも、納得もできる
そんな映画なのだ。でも「いや、こんなもやもやしたのじゃ
分からないよ。面白くないよ」という人には、映画的には
貞子さんや伽椰子さんといった大スターが活躍する
「リング」や「呪怨」のほうがオススメです。

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50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

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