ソロモンの偽証(前篇・後編)

「模倣犯」以降、宮部みゆきさんから遠ざかっていたので
久しぶりに読もうかなと思ったのが「ソロモンの偽証」

が…が…が…、単行本で3冊、文庫本で6冊…に
めげた。安易とは思ったが、映画でダイジェストすることに。
タイムリーにも1月と2月にケーブルで放送された。

ソロモンの偽証「前篇」「後編」

監督 成島 出
出演 藤野涼子、板垣瑞生 他

1990年。大雪が降ったクリスマスの朝。
中学校の校庭で、雪に埋もれた柏木卓也という生徒の
遺体が発見された。最初は自殺として処理されたが
やがて学校や、発見者である藤野涼子にあてた
告発表が届く。「卓也は、大出という不良の生徒たち
に殺された」と。卓也の死は自殺なのか、他殺なのか。
告発状を書いたのは誰なのか。生徒や父兄や、教師たち
の間に広がっていく波紋。涼子たちは、卓也の死の
真相を解明するために、学校内裁判を開く決意をする。

宮部さんの作品は、小説も映画も
ぐんぐん引き込まれていく面白さがある。
「ソロモンの偽証」も例外ではない。
だから、前篇も後編も、ほとんど長さを意識せず見れた。
まあ、私のように、多少映画ズレしている人間は
細かいところでは「ん?」と思うところがないわけじゃ
ないが、原作のボリュームを考えたら
かなりよく出来ているのではないかと思う。

設定は20年以上前になっているが
今の子どもたちにも起きているイジメの問題などが
うまく織り込まれている。
最近の子どもたちは、こんな長い小説なんか
たぶん読まないだろうから
この映画は、ぜひ中高生と、その親御さんに観てほしい。

多少ステレオタイプで、出来すぎな部分はあるけど
親子ともに、考えること、話すことがたくさんある映画だと思う。
と高評価ではありつつ、個人的に一番不満なのは
柏木卓也という生徒の描き方。

映画だけ観ると、本当にどうしようもない奴感がハンパないけど
どうも原作で描かれた部分が
彼の場合、大幅に省略されているような気がする。

それともう一つは、卓也という生徒が
かつて「理由」に登場した中学生小糸孝弘とかぶるのだ。
親の、身勝手な考えや行動に振り回され続け
「親と暮らすほうがよっぽど大変だった」と言い
赤の他人に、同居させてほしいと頼む少年。
けれど彼は物語の最後に、もし他人と暮らしたら
自分もその人たちを殺すんだろうかとつぶやくのだ。

自分を取り巻く世界の全てが欺瞞に思え
何も信じるものがなく、何も愛するものがない
孤独と絶望。それが卓也と小糸孝弘に共通している。
「あんな、どうしようもない、面倒くさい奴は
ほっとけ。自業自得さ」
というのが、映画を観た多くの人の感想なのだろうか。

他の生徒たちが、家庭や学校に様々な問題を抱えつつも
未来にわずかな光を感じるラストだったのに比べて
雪の降る深夜の無人の屋上に、佇み続けた卓也の
あまりにも救いのない結末に、何ともいえない切なさを
感じてしまい、どうにも納得がいかない。
「いや、確かにイヤな奴なんだけど…でもね」って感じ。
結局原作読んでみようかなという気が
ムラムラと起こっている私。これって病気だよな。






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50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

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