容疑者Xの献身

東野圭吾さんの小説の中で、お気に入りは
「白夜行」と「容疑者Xの献身」
「白夜行」はドラマと映画
「容疑者Xの献身」は映画化された。

弁当屋で働いている花岡靖子は女手ひとつで
中学生の娘美里を育てている。
そんな靖子に、別れた夫の富樫がつきまとい始め
ほんのはずみで、親子は元夫を殺してしまう。
途方にくれる二人に救いの手を差し伸べた人物が
いた。靖子たちの隣の部屋で暮らす、風采のあがらない
高校の数学教師石神だ。

最初から犯人は分かっているという
いわゆる倒叙形式のサスペンス。
石神は実は天才的な数学者で、靖子たちを救うために
誰も思いつかないような完璧で渾身のトリックを作りあげる。
それを、石神の大学時代の親友で、天才物理学者の湯川
が解き明かしていくという、謎解きの面白さはもちろんあるが
それ以上に魅力的なのが、石神という人物のキャラクターだ。

一年前生きる目標を失って、自ら死を選ぼうとした石神に
生きる意味を教えてくれたのが、隣に引っ越してきた靖子たち
親子だった。彼女たちの存在に、石神は
通常の恋愛感情を超えた、ある種の真理を見出し
自分のすべてを賭けて、彼女たちを守ろうとする。

「崇高なるものには、関われるだけでも幸せなのだ」
そしてそれは、石神がそれまで愛してやまなかった数学にも
相通じるものなのだと、彼は思った。
この感覚が分からないと、石神に共感するのは難しい。
靖子たちのアリバイを作るために、無関係な人間を殺すという
非情も冷酷も、このありえないほどの純粋さで相殺されている
と、私は思う。良識や道徳の眼鏡をかけて見たら
見えなくなってしまう美しさがある。

石神の思いに反し、結局靖子は自首をする。
「石神さんと一緒に罰を受けます」」と。
絶望と混乱の中で、石神は獣のように吠え、叫ぶ。
けれど、これは人間の魂が、苦痛と悲しみの果てに迎えた
とても美しいハッピーエンドなのではないかと思う。

ちなみに映画版も、石神先生を演じた堤真一さん、ステキでした!
ただ映画版は、無難な出来ではありましたが
圧倒的な密度の濃さから言って、やっぱり原作の勝ちかな。

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50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

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