シン・ゴジラ

何かと話題の「シン・ゴジラ」を観てきた。
最近映画を選ぶ基準が
内容じゃなく「大きい画面で観るなら」になってるのは
多分「ローン・レンジャー」を映画館で観れなくて
ものすごく悲しかったことが
ずぅーっとトラウマになってるからだ。

で、感想はというと「ゴジラ可哀そう!」だった。
そもそも予告映像の時点で
戦う前からなんだか満身創痍みたいに見えて
手が極端に小さく、しっぽが異常に長い
あのいびつなビジュアルに違和感があったのだけれど。

最初にゴジラが登場した瞬間は
「???」という感じで、眼が点になったが
再登場したゴジラは、まぎれもなく
予告編に出てきたあのゴジラだった。

ゴジラという怪獣に初めて出会ったのは
1962年の「キングコング対ゴジラ」
小学校二年生の時だ。
つまり昭和ゴジラの世代だから
ゴジラが核実験の産物という前提は
知識としてはあるが、だから絶対的な脅威で
抹殺しなければならない絶対悪だという認識がない。

日本のゴジラは、あの体形も、緩慢な動きも
どこかユーモラスだから
今回も、なんか出てきちゃいけないとこに出てきて
のしのし歩いていたら
いきなり軍用機やら戦車が大挙して集結し、一斉攻撃された
というふうに見えてしまう。

火炎と煙に包まれたゴジラを見て
私は「もう、なんてことするとよ」と怒り心頭。
「負けるな。暴れろ。暴れろ」と応援しましたが
エネルギー切れでいきなりフリーズ。
(ウルトラマンか 怒)

このあたりでやっと
「そうか。今回のゴジラは、存在自体が歩く原子炉みたいな
設定なんだな」ということが分かる。
ただの破壊王だけじゃなく、放射能の脅威が上乗せされてる。
だから通常の兵器ではゴジラには勝てないので
最後の手段は核兵器。
それはつまり核には核を。核戦争かい!
この核の扱い方のあまりの軽さには
ちょっと真面目に腹が立った。

けれど、核による日本壊滅を回避するべく
気鋭の若手政治家や、はぐれ者の研究者たちが
死に物狂いで、有効な対処法を考案。
それが功を奏して危機は回避されたけど
残されたのは、モニュメント化した巨大なゴジラ。
あ~、もう全然暴れ足りないよぉ。

もちろん「シン・ゴジラ」をめぐっては
例えば3.11の東日本大震災や原発事故と絡めたかった
作り手の側の意図も
そこに言及した真面目な考察がたくさんあることも
はたまた総監督の庵野さんや「エヴァ」と関係づける視点が
あることも分かっています。

けれど未だ記憶に新しい、あの震災や原発事故を
こうしたエンターテイメントな、しかも怪獣映画に
落とし込むのはやはり難しい。だから、観る人に
これこそがリアルと錯覚してもらうための、あの
ハイスピードだったのだろうと思います。

けれども昭和ゴジラに愛着を持つ者としては
「シン・ゴジラ」は、ある意味、核や放射能の脅威に対する
人間の屈折した怨念を、過度に背負わされたゴジラの叫びが
理不尽に殺される生き物の断末魔の悲鳴にしか聞こえず
ただただ哀れで悲しかったです。

むしろこの映画は、ゴジラではなく
かつての「エイリアン」のように、
放射能汚染が生んだ、人類には未知の
凶悪で最強の新種の怪獣を考案してくれたほうが
私は違った楽しみ方ができたかもしれないと思います。

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No title

こんばんは。

無事見てきたのでこうしてやっと鑑賞済みの人様のブログを廻れるようになりました。この一週間は情報遮断で倒れるかと思いましたね~(ーー;)

いやー、それにしても楽しいゴジラ映画でした。次はサントラを買ってきて脳内で反芻しようと計画中です。

ノスタルジーですねぇ

しろくろ様 コメントありがとうございます!

ゴジラ情報遮断大変だったでしょう!
私はこの前の「貞子VS伽椰子」で、最初客が私ひとり
だったので、今回はあわてて行ってきました。

子どもの頃のイメージから離れられないのは
年を取った証拠ですね。
ゴジラは、にぎやかに暴れて
北の海に帰ってくれればいいっていう。
でもせめてスカイツリーくらい
壊してほしかった。

もう少し幅広い視点で映画を観れるように
がんばります(笑)

おじゃまします。

私も遅ればせながら、観てきました。
そうですね〜最後でゴジラとの共存?!みたいな台詞がありましたが、まさに「原子炉」扱いですね。少し複雑です。

暴れるゴジラが好きなもので

軍曹亭様 コメントありがとうございます!

ご覧になりましたか。
ほぼ棒立ちのゴジラが、ビームだけで東京を焼き払う
というのは、すごくアニメっぽい感じなのに
あちこちに震災や原発事故を連想させるエピソードが
混ぜてあるのに、違和感がありました。

もう少しカラッとしたゴジラが観たかったもので(笑)

平成シリーズ世代

こんにちは。
カリメン2号です。

自分も『シン・ゴジラ』を観て来ました。
自分なんかは、ゴジラがスクリーンに登場したシーンは「あぁ、また怪獣対決ものかぁ」という落胆の方が大きかったですね。
恐らく平成ゴジラシリーズで育った自分としては、アメリカ版の『GODZILLA ゴジラ 』の印象が強かったからだと思います。
作品自体は一貫したテーマ性のある良い作品だと思います。
自分なんかリメイク作品と言うよりは、庵野監督が手掛けたリブート作品と言う印象の方が強かったです。

人それぞれのゴジラ

カメリン2号さん
コメントありがとうございます!

やっぱり映画がお好きな方は
皆さん観られてますね「シン・ゴジラ」(笑)

ゴジラは悪者になったり、正義の味方?だったり
忙しいですから、人それぞれのゴジラのイメージや思い入れが
あるのだと思います。

今回のゴジラは、そんな多様なニーズに答えようとしつつ
庵野さんのカラーもしっかり出そうとしたので
結果的にゴジラの出番が少なくなりました。
だから、ゴジラメインで観にいった私なんかは
少々物足りなかったというのが正直なところです。

カメリン2号さんはわりと高評価だったんですね。
でも評価が分かれる映画って
映画らしい面白い映画なんだろうなと思います。

恐らくですが…。

こんにちは。
カリメン2号です。

恐らくですが、「ゴジラ」という作品に触れたことのある映画ファンなら、ほぼ全員と言っていい人が観てるんではないでしょうか。
本当に「ゴジラ」というものの存在の大きさを感じますね。

そうですね。
「ゴジラ」という作品は、観る立場によって変わってくるように思います。
今回の『シン・ゴジラ』は庵野監督の意図として、「ゴジラ」というよりは、それを取り巻く人間模様と日本の立ち位置みたいな感じでしたね。
怪獣映画という意味においては、物足りなかった部分もあったと思います。

そうですね。
自分の中では、今回の『シン・ゴジラ』は高評価です。
作品の内容としても、「ゴジラ」としても、そして、何よりも日本のプライドとしても。

欲張りなんでしょうけど

こんにちわ。
コメントありがとうございます!

高評価な方では「これまでになかった」というご意見が多い
ですね。私のように、過去のノスタルジーにすがると
結局ワンパターンになることは分かっているのですが。

「シン・ゴジラ」は小学生にはさすがに少々難しい。
ゴジラに限らず、特撮の怪獣映画は
個性も歴史もある日本の文化だと思うので
次世代の子どもたちにとって「ゴジラすげぇ!」という
ファーストインパクトになるような
作品であってほしいという思いもありました。
プロフィール

田中偲

Author:田中偲
50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

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