イミテーション・ゲーム

タイトルとか暗号というキーワードから
諜報戦とかスパイ映画みたいなのかなと早とちりして
観るのを保留していたが、ケーブルで放送されたので観た。

ケンブリッジ教授の、アラン・チューリング邸で盗難が発生。
ところが、盗られたものはなく、不審に思ったノック刑事は
密かにチューリング教授の経歴を捜査する。ところが
教授は同性愛者で、泥棒は教授が関わりを持った男娼
だと判明。しかし疑惑をぬぐいされないノックは、逮捕された
教授を尋問し、驚愕の事実を知ることになる。

幾つかのプロットがある。
第二次大戦中、ドイツ軍が用いたエニグマという暗号。
天才的な数学者であるチューリングは、数名の仲間と
人間には解読不可能と思われた暗号を、専用のマシン
を開発して解読に成功し、戦争の終結に大きな功績を
果たす。天才数学者の優れた業績と、不遇な生涯。

でも私のツボは、そこではなく、他のところだった。
チューリングには別の側面がある。人間とうまくコミュニ
ケーションを取ることができない、いわゆるEQ能力の欠如。
学生時代イジメられていた彼を守り、ただ一人理解してくれた
クリストファー。しかしクリストファーは死んでしまう。
チューリングは、自分が考案したマシンを「クリストファー」と名
付け、生涯そのマシンと暮らし続けた。

彼が同性愛者になったことにも、旧友のクリストファーの存在が
影響したことは否めない。しかしチューリングは問う。
「人とマシンに違いはあるのか。マシンと同じように考える
人間は、果たして人なのか、マシンなのか」
チューリングは、人間と同じように思考することは苦手だが
マシンと同じ思考ができるから、エニグマを解読した。
マシンと同じ思考をする人間が、マシンを愛することは
奇異なことでもなんでもない。その境界はとてもあいまいだ。

彼の「クリストファー」というマシンに対する愛着は、人間に対す
るそれと少しも変わらない。マシンと別れないために、刑務所
ではなく、ホルモン剤を投与する治療を選ぶチューリング。
「私を独りにさせるな。独りはいやだ」という叫びが、観る者の
胸に突き刺さる。
こんな生き様もある、そしてこんな愛もあるという物語。

もう一つ、この映画は見せ方がすごくうまい。実話がもとに
なっているが、出来事を時系列に並べる単調さを排除している。
刑事とチューリングの会話を上手にはさむことで、ミステリー
的な要素が加わり、その会話の中に、映画のテーマもさりげ
なく織り込まれている。

いや~「ファイトクラブ」の時もそうでしたけど
タイトルとか予告編で、先入観を持って、食わず嫌いを
するのは、本当に失敗のもとですね。
「イミテーション・ゲーム」オールマイベストに入れても
いいくらい、よい映画でした。


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田中偲

Author:田中偲
50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

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