虐殺器官

完成までに紆余曲折があった作品だが
無事に完成、今月公開になった。
今年初めて映画館で観た映画。

原作 伊藤計劃  
監督 村瀬修功

9.11後、サラエボで手製の核爆弾がさく裂し
サラエボの町が消えた。アフリカやアジアの
開発途上国で起きた内乱は、大規模な虐殺を
引き起こした。しかし、その混乱の背後には
謎のアメリカ人ジョン・ポールの存在が。
アメリカ情報軍特殊部隊の、クラヴィス・シェパ
ード大尉は、国防総省の密命を受け、部隊を
率いて、ジョン・ポールを追う。
プラハ、インド、そしてアフリカのヴィクトリア湖。

「ハーモニー」もそうだったが、原作は一人称なので
主人公の内面、思考や心理が細かく書き込まれている。
映画は、特殊部隊による暗殺という、戦闘アクション
の流れを途切れさせないようにしながら、セリフの
部分に、原作の持つ、その思索的な雰囲気を可能
な限り盛り込むという、そうとう難易度の高いことを
やっているように思われた。

ジョン・ポールが操る虐殺の文法。平和だった国が
わずかの間に混迷を極め、人々が互いに殺しあう
ようになるのは、人間の脳にあらかじめ虐殺の言語
がセットされているから。
一人生き残ったクラヴィスは、アメリカに戻り、大勢の
人々に向かって、一連の事件の真相を、「僕の物語」
を語り始める。

原作で描かれた罪と罰の問題について、映画ではその
ほとんどがカットされていたが「ブラックホーク・ダウン」
のような緊張感のある戦争アクションにするためには
やむを得なかったのではないか。またエピローグの変更
についても、実は作者自身の「エピローグで大嘘をついて
いる」という意味深な発言があって、この「大嘘」が解明
されないと、うかつな結末はつけられなかったとか。
これは私の推測に過ぎないのですが。

ともあれ映画「虐殺器官」は、原作の持つ迷路のような
重層的な雰囲気を伝えつつも、原作を読んでない人でも
SF戦争アクションとしてそれなりに楽しめるように配慮されて
いて、かなり高得点の出来栄えでした。映画を観て、面白い
と思った方は、ぜひ原作も読んで見てください。

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50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

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