猫なんかよんでもこない

昔から動物が好きだ。
人間同士の話だと、どんだけ「感動の〇〇」と言われても
「ふ~ん」くらいのリアクションしかできないのに
とにかく動物が出ているだけでウルウルしてしまう。
「皇帝ペンギン」で泣き「星になった少年」で泣き
映画でなくても、犬が飼い主を追いかけるシーンなんか観ると
すぐ涙が出る。涙腺が動物専用なのかもしれない。

で「猫なんかよんでもこない」を観た。
原作は杉作さんの実話漫画
監督 山本透

兄貴のアパートに居候をしている
プロボクサー志望のミツオ(風間俊介)
猫嫌いなのに、兄ちゃんが猫を拾ってくる。それも二匹。
クロとチンという、なんとも適当な名前をつけて
何かと思い通りにならない猫たちと暮らし始めた。

しかしミツオは試合中のケガが原因で
ボクサー生命を絶たれ、兄ちゃんも彼を見捨てて
田舎に帰ってしまい、2匹の猫とミツオが残される。

お金ない、仕事ない、猫いる。
さあ、どうするミツオ、みたいな
結構グダグダなお話なんだけど
猫がいっぱい出てきたので大満足。
動物さえ出てくれば、内容の如何や
映画の出来不出来は問わない(オイ!)

風間俊介クンは「金八先生」の時すごくがんばってた
記憶があって、同じく「金八先生」でインパクトがあった
濱田岳クンが、いまや存在感のある
個性派の俳優さんになったので
ぜひ風間クンもがんばってほしいと思った。

アパートの大家さんは、市川実和子さん。
そういえば、昨年「シン・ゴジラ」尾頭さん役で
大ブレイクした、妹の市川実日子さんも
「レンタネコ」という、とてもまったりした映画に出てたので
お二人とも、猫がお好きなのかな。

基本猫は「演技」はしないので
ただうろうろしているのを撮るだけみたいになるのだが
この映画は、そんな猫を、わりとじっくり、いろんなシチェーションで
撮っていたので、猫映画としては、ポイントが高かったです。

ジョン・ウイック

マッチョな男性がそれほど好きじゃないので
アクション映画で「これ、観たい!」と思うことは
少ないんだけど「ジョン・ウイック」は、キアヌ様だし
ちょっと観てみたかった。

「ジョン・ウイック」(2014)

 監督 チャド・スタエルスキー
 出演 キアヌ・リーブス ミカエル・ニクヴィストetc.

引退した、伝説の殺し屋ジョン・ウイック。
最愛の妻ヘレンを病気で亡くし、妻に贈られた
ビーグル犬と暮らしていたが、ロシアンマフィアのボス
のバカ息子に、愛車を奪われた上に、犬を殺されて
しまう。

その愛犬の復讐のために、ロシアンマフィアを壊滅
させるという、アクション映画にしては、なかなか
シュール、かつシンプルなストーリー。

かつてジョンの雇い主でもあった、ロシアンマフィアのボス
ヴィゴは、ジョンの超人的な強さを知ってるだけに
ジョンの友人でもあるマーカスまで雇って、総力戦で
臨んだけど、負けちゃったという、まあ他愛もない映画
ではあるのだけれど。

殺し屋御用達の、謎のホテル「コンチネンタルホテル」
と、そのホテルのオーナーなども、アクション映画に
ありがちなぎすぎすした感じではなく、どこかレトロで
スタイリッシュ。その分アクション映画としては
全体として、物足りないとか詰めが甘いと感じる人も
いそう。

満身創痍になりつつも、マフィアを倒したジョンは
傷の手当をするのに、忍び込んだ無人の動物病院で
一匹の犬と目が合って…。

いやあ、なんていい人だ!たとえ100人殺したって
このラストシーンで、全部許しちゃう(笑)
それに、ラストでジョンと運命の出会いをするワンちゃん
が、死んじゃったビーグルではなく、グレーのパグ(?)
というのも、ベタじゃなくてGood!
私は「ノーカントリー」の、おかっぱの彼もそうでしたが
団体戦のアクションよりも、「孤高の○○」みたいなのの
ほうが、相性がいいようです。どうやら続編もできるらしい
ので、楽しみにしていますが、もう犬ネタはないだろうなあ。

それにしても、最近のアメリカの映画やドラマでは
またしれ~っと、ロシアとかロシア人を悪役にする
のが増えてきている気がします。やっぱり、アメリカ
にとって、一番仮想敵国にしやすいのがロシア
なんでしょうか。

日本で一番悪い奴ら

昨年封切られた時から観たかった
「日本で一番悪い奴ら」をオンデマンドで観た。

監督 白石和彌
出演 綾野剛 中村獅童 

北海道警で実際に起きた不祥事
「稲葉事件」をもとにした実話物。
警察不祥事の実話物というと、なにやら
重苦しい話という感じだが、まさかのコメディ。

諸星要一(綾野剛)は、柔道の成績を買われて
北海道警の刑事になる。純粋で正義感の強い
諸星に、先輩刑事は「成績を上げたいなら、裏
社会に飛び込んでスパイを作れ」と教え込む。

おりしも全国の警察が、銃器摘発の実績つくりに
やっきになる中、諸星は次々に拳銃を摘発。
好成績を上げるが、じきに裏社会との付き合いに
必要な資金に困り、自ら覚せい剤の密売に
手を染めていく。

白石監督は「凶悪」もすごくいい映画だったので
かなり期待度が高かったのですが、このネタを
コメディに仕上げたセンスがすごい。

ひと言でいえば「警察=ブラック企業」
成績のためなら、おとり捜査だって、違法行為だって
なんだってやる。拳銃を、関東のヤクザから仕入れて
宅急便で配達。送付先が北海道警って(笑)
国内では買取の相場が上がったので、子分に「ロシア
に買い付けに行ってこい」とか。
どこまでが事実で、どこからパロってるのかは分から
ないけど、なんか全部ありそうに見えるのがおかしい。
そして、諸星の暴走の背後には、警察の行き過ぎた
そしてもの凄く偏った成果主義があるんじゃないかと
暗に匂わせている。

この手の話は、真面目な実話ドラマにすると
何かと横やりが入りそうなんだけど
そうか、その手があったかという感じです。
ただ最近観た邦画のほとんど「そこのみにて光輝く」
「リップヴァンウィンクルの花嫁」「天空の蜂」
「怒り」そしてこの「日本で一番悪い奴ら」と
綾野剛クンが出てて「ちょっと使いまわしし過ぎだろう」と。

まあ彼がこういうキレッキレ感のある役を演じることが
できる俳優さんの一人だということは分かりますが。
でも映画自体がかなり面白かったので満足です。

余談ですが、この映画を観たあとに、佐々木譲の
「制服捜査」という本を買って読んでたら「稲葉事件」
の影響による警察官の大異動で、札幌から志茂別町
の駐在所に転勤になったお巡りさんの話でした。
これって、何かの巡り合わせ?

虐殺器官

完成までに紆余曲折があった作品だが
無事に完成、今月公開になった。
今年初めて映画館で観た映画。

原作 伊藤計劃  
監督 村瀬修功

9.11後、サラエボで手製の核爆弾がさく裂し
サラエボの町が消えた。アフリカやアジアの
開発途上国で起きた内乱は、大規模な虐殺を
引き起こした。しかし、その混乱の背後には
謎のアメリカ人ジョン・ポールの存在が。
アメリカ情報軍特殊部隊の、クラヴィス・シェパ
ード大尉は、国防総省の密命を受け、部隊を
率いて、ジョン・ポールを追う。
プラハ、インド、そしてアフリカのヴィクトリア湖。

「ハーモニー」もそうだったが、原作は一人称なので
主人公の内面、思考や心理が細かく書き込まれている。
映画は、特殊部隊による暗殺という、戦闘アクション
の流れを途切れさせないようにしながら、セリフの
部分に、原作の持つ、その思索的な雰囲気を可能
な限り盛り込むという、そうとう難易度の高いことを
やっているように思われた。

ジョン・ポールが操る虐殺の文法。平和だった国が
わずかの間に混迷を極め、人々が互いに殺しあう
ようになるのは、人間の脳にあらかじめ虐殺の言語
がセットされているから。
一人生き残ったクラヴィスは、アメリカに戻り、大勢の
人々に向かって、一連の事件の真相を、「僕の物語」
を語り始める。

原作で描かれた罪と罰の問題について、映画ではその
ほとんどがカットされていたが「ブラックホーク・ダウン」
のような緊張感のある戦争アクションにするためには
やむを得なかったのではないか。またエピローグの変更
についても、実は作者自身の「エピローグで大嘘をついて
いる」という意味深な発言があって、この「大嘘」が解明
されないと、うかつな結末はつけられなかったとか。
これは私の推測に過ぎないのですが。

ともあれ映画「虐殺器官」は、原作の持つ迷路のような
重層的な雰囲気を伝えつつも、原作を読んでない人でも
SF戦争アクションとしてそれなりに楽しめるように配慮されて
いて、かなり高得点の出来栄えでした。映画を観て、面白い
と思った方は、ぜひ原作も読んで見てください。

チャイルド44 森に消えた子供たち

連続殺人事件物ということで、シリアルキラー好きの私
としてはずっと観たいと思っていた一本。

原作はトム・ロブ・スミス
監督 ダニエル・エスピノーサ
出演 トム・ハーディ ノオミ・ラパス
製作にリドリー・スコットの名前があるアメリカ映画

舞台は1953年スターリン政権下のソ連。
ウクライナ飢饉を生き延びたレオ(トム・ハーディ)は
戦争で功績をあげ、MGB(ソ連国家保安省)の捜査官
になり、美しいライーサ(ノオミ・ラパス)と結婚する。
レオの親友アレクセイの息子の死体が、森で見つかり
アレクセイは、息子は殺されたと主張するが…

すわ犯人捜しかと色めき立ったが、どうもそういう展開
ではないらしい。
なぜなら「犯罪は資本主義の病。理想国家のソ連で連続
殺人はあり得ない」というのが、スターリンの主張であり
社会通念だから。「え”-っ!」という感じだが、そういう
わけで、犯人捜しまでにすごい紆余曲折があった。

ライーサにスパイの容疑がかかり、妻の告発を拒否した
レオは、エリート官僚の座を追われ、地方の下級官吏に
左遷された。その赴任先のヴォルスクで、少年の死体が
発見されて、レオは事件の真相を追求する決意をする。

社会の中心の軸がずれると、私たちが常識と信じている
すべてのことがおかしくなる。さらにそのおかしい状態が
普通になると、かつて普通と思われていたことが間違い
になる。保身のための裏切りや密告が当たり前という
社会は、男女の愛情や信頼の形をも変質させる。

この映画のミステリー性というか、何とも気持ちの悪い
感じは、連続殺人やその犯人像ではなく、殺人をなか
ったものとして容認するような社会のありようと、その
社会に翻弄された人間たちにあった。もしもレオが事件
の解明に動かなかったら、44人もの無残に殺された
子供たちは、すべて事故か冤罪で片づけられていた
わけで、それはそれでとてつもなく怖い。

しかしよくまあ次から次へと、理不尽な苦労を強いられる
レオやライーサに同情しながら観てしまうので、犯人が
わかっても「あっ、そう」という気分になってしまう、ある
意味珍しいミステリーではありました。
映画を作った側も犯人捜しにはさほど思い入れがなさそう
なんだけど、そのあたりいったい原作はどうなってるん
だろうとちょっと興味があります。


プロフィール

田中偲

Author:田中偲
50年以上映画を見続けてきた、でもただのミーハーな映画好きの、備忘録的感想文

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